農業委員会とは、「農業委員会等に関する法律」に基づいて市町村に置かれている行政委員会(※)です。
農地を売買したり、農地を宅地等に転用したりする場合に、この農業委員会の許可が必要となります。
ちなみに、農地の売買だけでなく、農地を貸し借りする場合でも、この農業委員会の許可は必要なのですが、このことを知らない農地所有者、農業者、農業関係者は驚くほど多いです。それだけ、口約束での貸し借りが慣習化されているのだと思います。
※行政委員会:国や地方公共団体の一般行政部門に属する行政庁であって、複数の委員によって構成される合議制の形態をとり、かつ、母体となる行政部門からある程度独立した形でその所管する特定の行政権を行使する地位を認められるものをいう。(Wikipediaより)
農業者が減少し、耕作放棄地が増加していく中で、“農地利用の最適化”を主な目的として「農業委員会等に関する法律」が大きく改正されました。法律の施行は昨年のH28.4.1ですが、大半の農業委員会がこの7月で新体制へ移行されました。
改正法では“農地利用の最適化”推進が、農業委員会の最も重要な事務として位置づけられたのですが、“農地利用の最適化”推進とは、①担い手への農地利用の集積・集約化、②遊休農地の発生防止・解消、③新規参入の促進、による農地利用の効率化・高度化の促進を行うこと、です。実は、これら①②の事務は旧法でも農業委員会の事務とされていましたが、“任意”事務とされていて、今回の改正により“必須”事務となりました。
農業委員会の役割自体が強化されたといえます。
農業委員会の任意事務として、従前から「法人化その他農業経営の合理化」というものがありますが、私としては、こちらも強化して欲しい部分です。
法人として新規に農業参入したいというご相談が一番多いので、農地利用の最適化のための必須事務として追加された③新規参入の促進、の効果に期待したいです。
そして、改正法では農地利用の最適化のため、担当地域において現場活動を行う「農地利用最適化推進委員」を新たに設置することも定められました。
最終的には農業委員会が推進委員を委嘱する形ですが、推薦・公募が行われ、その結果が尊重されます。
現地活動を行うということは、農地をパトロールしたり、農地所有者の意向を聞いて回ったりすることだと思うのですが、それを農業委員会や農地中間管理機構へフィードバックし、その意見で地域の指針が形成されていくという、とても重要な役割を担うポジションなので、その活躍にも期待したいところです。