農業と地域

農地を利用した農業をおこなうにあたって、地域との関わりは切っても切り離せません。
それは単純に農地が広がっているような田舎は地縁を大事にするから、というものではありません。

例えば、今から農業に参入しよう、参入したい、という人は「無農薬(有機、オーガニック)でやりたい」という方が多いように感じていますが、農用地が広がる地域で自分のところだけ無農薬栽培を貫くことは基本的に難しいことです。
無農薬栽培で雑草が多くなると虫が発生する確率も高くなるので、周りの農地にも影響が出ますし、反対に隣の耕作者が農薬を撒いているのに、自分が栽培した作物は一切農薬を使っていない、と主張することには無理があります。
また、農業に欠かせない水利の管理は、農用地一帯で協力しておこなう必要があります。自分の農地にだけ水がくればよい、という考えは通用しません。

農地を利用した農業の基準となる法律は農地法ですが、その農地法第1条の目的で「(農地は)地域における貴重な資源」、「耕作者による地域との調和に配慮した農地」ということが謳われ、全69条ある農地法で「地域」という言葉は45回出てきます。
農地を利用した農業は、法律上“地域との調和”が求められているのです。

農業地帯

最近、農業に関わるお仕事から少し離れてしまっているのですが、今年の4月から大阪市内で地域のまちづくりに関わらせていただいています。
大阪市内なので本当に農業や農地に関係する案件は全くありませんが、地域事業をおこなっていくことは都市も農村も変わりないと考えています。
もっといえば、そういった地縁型の組織に限らず、営利目的の企業であれ、非営利目的の団体であれ、組織作りのベースは同じだと痛感します。

地域運営のような営利目的でない組織で「ヒト・モノ・カネ」が重要リソースだというと違和感を感じる方もいるかもしれませんが、どんな組織でもやはりこれに尽きます。
中でもヒト-
どんなに素晴らしいモノがあっても、潤沢なカネがあっても、使いこなすのは結局ヒトです。

ヒトが常に周りの状況を読み取り、柔軟な発想で進化していかないことには組織の発展はあり得ないと、自戒を込めて思います。

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