日本の農業と外国人技能実習制度

先日、11月21日(金)公益財団法人国際研修協力機構、通称「JITCO」主催、会員向けの「経営者安全衛生セミナー」に参加してきました。
このセミナーでは送り出し国・送り出し機関の状況や災害発生状況・不適正事案の防止等、経営者が熟知しておくべき最新事情をお話いただきました。
何かと批判にさらされることも多い「外国人技能実習制度」ですが、日本の農業分野から少し考えてみたいと思います。

農業分野に関しては、国も本格的に新規就農をする若者を後押しするため、様々な政策を打ち出してきました。

今年10月4日(土)には、関西最大級の農業人フェアが大阪天満橋のOMMにて開催され、私も参加してきました。
新規就農者誘致に多くの都道府県からたくさんの農家が参加されていましたが、私は、北海道の牧場の方と外国人技能実習について情報交換させていただきました。
情報交換する中で、日本の農業が、国際貢献活動という名目で外国人技能実習生の労働力に頼らざるを得ない理由は、彼らは「3年間」は確実に働いてくれることにつきます。
農家の本音として、いくら補助金を出してもらっても、ちょっと肉体的にキツイとすぐ辞めてしまう日本人より、手続きの手間や賃金が少々高くても、3年間確実に働いてくれる外国人技能実習生の方がずっと農家にとっては有りがたいのです。

弊所の関わる組合はタイ人・フィリピン人が多く、来年は初めてベトナム人も入国します。
北海道はベトナム人の割合が圧倒的に多いそうですが、国が違えば、法的保護管理講習の内容にもそれぞれのお国柄を反映した内容を盛り込む必要があります。
建設業や製造業に焦点を当てたJITCOのテキスト通りの内容だけでは、農業で入国した技能実習生への講習の意味はあまりないため、農業用に内容を適宜追加していく必要もあります。

農業のマンパワーをどうするのか、補助金だけでは新規就農者を増やすことは困難と言わざるを得ないというのが正直な感想です。
ほかの産業と同様、農業技術がどんなにすばらしくても、「売れる」わけではないからです。

最初から、「農業を一生の仕事にしよう」と考える方はそう多くはありませんが、よい農業指導者に巡り合え、農業の面白さに目覚め、経営をやっていける自信をつけて独立し、頑張っておられる方は多くいらっしゃいます。

弊所で定年を機に農業法人を設立された方は、旅行に行くように農業を体験するバスツアーなど、温泉地と協力して、農作物を作っている土地にお客さんを連れて行って買ってもらおうという取り組みをされています。

外国人技能実習生に話を戻せば、彼らのモチベーションは、もちろん「お金」もさることながら、キャリアアップしたいという貪欲な姿勢。
一生懸命頑張る先の目標は、身に着けた語学や技術で母国でも成功すること。そのために今日も彼らは頑張っているのです。

子ウシ

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